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Background
この作品は自分の幼少時代の写真を用いている。写真に写る場所や出来事の記憶は朧げだが、それらの写真は今までに何度となくアルバムで見返し、疑いなく自分の生い立ち(=背景)の証明でもある。
写っている自分やともに写っている人を、写真の表面に絵の具を塗りながら消し、そして同時に背景を描いていく。消すことと描くことの同時進行。この作業により、かつて自分の後ろにあった背景は前景化され、生い立ち(=背景)を成していた写真は新たなイメージとなって自分の前に立ち現れる。